Change.orgからのお知らせ

「わきまえる」 をやめよう | チェンジの国際女性デー

「わきまえる」ことを求めるのは、往々にして「わきまえてもらった方が都合がいい」人たちです。だから「わきまえない」人になると、現状維持の方が都合がいい人たちから反発がきます。嫌われたり、怖がられることもあります。

こと女性は社会の中でいまだに「わきまえる」ことを求められることが多いと実感します。女性だから、年少だから、経験がないから、黙って従っていればいいんだよ。そんなメッセージが私たちの身の回りには溢れていて、そこからはみ出すと煙たがられる。そんな風景を見せつけられることで、いつの間にか私たち自身も「女はわきまえるべき」というメッセージを信じ込まされています。

私がChange.org Japanのカントリー・ディレクターを前任のハリス鈴木絵美から引き継いだ時、自分にこの役職が務まるだろうか、という自信のなさから来る不安で押しつぶされていました。

当時、すでに日本チームの運営業務はほとんど引き受けており、わからないことはほぼありませんでした。それでも、「カントリー・ディレクター」という役職を自分が引き受けて大丈夫なのか?という疑問が私の中に大きく湧き上がってきました。しかもそれは、2人目の子どもの妊娠8ヶ月、育休に入る直前のタイミングでした。

育児しながらの自分でいいのかな?できるのかな?こんな立場でチームメンバーに指示やフィードバックを出したら嫌われないかな?失敗したら失望されないかな?期待された成果をだせなかったらどうしよう?

そんなことばかり考えている私に絵美さんは、「自分の能力を信じて。あとは腹を括りさえすれば、なんだってできる」と繰り返し私を励まし続けました。

育児中だから。経験がないから。失敗するかもしれないから。私は社会が押し付けている「女だからわきまえるべき」というメッセージを無意識に自分に当てはめていたのです。

これに気づいても、意識的に自分の中から取り払うのにはかなりの時間と葛藤を要します。今も完全に自由になったわけではありません。それでも私は「わきまえる」ことをやめる決心を日々重ねて、この3月に9人になったChange.org Japanのチームを率いるリーダーシップを発揮することに日々の喜びを見出して仕事ができるようになりました。

これは自分が日本社会で責任ある立場で仕事をする女性のロールモデルになろう、ということだけにとどまりません。私と私のチームが運営するChange.orgは、いわば「わきまえる」ことをやめる決心をした仲間たちが集まっている場所だからです。

液体ミルクが作れなかったかつての日本で、関係省庁や乳業メーカーに働きかけて国内での液体ミルク製造販売を後押しした母親。
小児がん治療を受けて免疫がすべてなくなった子供に、予防接種を再度受けられる制度を作るよう自治体に働きかけた母親。
職場でヒールのある靴しか許されない風潮に疑問を訴え、職場の服装規定の風潮を変えた女性。
同性でのパートナーシップ実現に向けて声を上げた女性のカップル。
外見を卑下する動画広告に異議を訴えた若者。
女性が毎月使わないといけない生理用品に軽減税率を適用するべきだと声を上げた大学生。
性暴力を規定する刑法の内容は古く現状に見合わないからアップデートするべきと働きかけ続けている人たち。
望まない妊娠を防ぐため、避妊方法を日本でも増やす活動を続ける人たち。
誰もが子育てしやすい社会にするために、保育園を増やして欲しいと声を上げた人たち。

今日Change.org Japanが国際女性デーを記念して公開した動画では、「わきまえない」決心をし、Change.org上で声を上げている素晴らしい女性とその仲間たちの、ほんの一部を紹介しています。

思えば、女性参政権運動から#MeTooムーブメントにいたる女性の権利の歴史や、アメリカの公民権運動からBLMなど、これまでの民主主義の歴史は、ジェンダーや人種や信条などから不当な扱いを受けてきた人たちが、もう「わきまえる」ことをやめ、本来あるべき自由や権利や機会を求め、「わきまえ」ないで声をあげ、行動を起こし、本来あるべき姿に近づいてきたプロセスとも言えるのではないでしょうか。

一人で上げた声は最初は小さくても、同じく「わきまえない」と決心した仲間や、応援してくれるが集まってきます。一緒に歩み始めてくれます。仲間と一緒なら、反発や非難を跳ね返すこともできます。

そして「わきまえない」人が集まった時、「わきまえてもらった方が都合がいい」人たちは気づくのです。民主主義は「わきまえない」人たちの声を聞くことだと。

Change.orgはこれからも、ジェンダーや人種、国籍、宗教…さまざまな理由で「わきまえ」ることを強いられながらも、「わきまえない」決心をした人たちを応援できるプラットフォームであり続けます。

Change.org Japan カントリー・ディレクター
武村若葉

Written by
Change.org
March 9, 2021 2:49 pm