チェンジメーカーストーリー

【成功事例】「気持ちに行動がともなわないと、思いは届かない」 横浜のいじめを認定して!長崎市民が始めたキャンペーンを、横浜市の賛同者が提出しに行くまで

こんにちは、Change.orgの武村です!

「チェンジメーカーストーリー」は、スタッフとしてサポートしているキャンペーンの動きを紹介して、これからキャンペーンを発信する人に参考にしてもらおうというシリーズです。

今回は、1月末に報道され大きな話題となった、「横浜市教育委員会のいじめ認定問題」に関するキャンペーンを紹介します。

福島の原発事故で横浜市に自主避難をした児童が同級生からお金を取られていた問題で、今年の1月末に横浜市教育委員会の教育長が「関わったとされる子どもたちが『おごってもらった』と言っていることなどから、いじめという結論を導くのは疑問がある」と発言したことが大きく報道されました。

多くの人が、いじめで苦しんでいた児童がお金まで払わされていたのに、「いじめ認定しない」とは?と疑問や怒りを抱き、実際に報道の直後から横浜市教委の電話はパンクしたりしたようです。

長崎に住む合戸さんもまた、この問題にショックを受けたひとりでした。合戸さんは、この「おかしい」と感じた気持ちを形にしようと、「勢いで」Change.orgでキャンペーンを始めたそうです。それが、このキャンペーンです。

今回は、キャンペーンを開始した合戸さんと、署名を実際に届けた相馬さんにお話をお聞きし、署名を始めた気持ちや、実際に届けるためにどんな工夫をしたのか、聞いていきたいと思います。

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合戸さんの始めたキャンペーン

 

発信者の合戸さんは長崎に暮らす大学4年生で、この4月から高校の教員として働き始めるそうです。長崎と東京で、ビデオ通話でインタビューを行いました。

−−キャンペーンを開始したきっかけを教えていただけますか?

高校で教師を志して、教育学部に進学したんですが、途中で進路を悩んだ時期があって…そんな時、神奈川県川崎市で中学生が亡くなる事件の裁判をニュースで知ってショックを受けました。

それから、子どもが苦しんだり亡くなったりすることに敏感になりました。

今回の件も、いじめ認定されないという報道をみてすごくびっくりしまして、即座に、勢いでキャンペーンを始めました。

この件では、いじめの加害者をかばう大人が多いことにびっくりしました。どんなにひどいことがあっても、被害者の声がくみとられないことが多いと感じています。

−−キャンペーンを開始してみてどうでしたか?

最初、賛同者が5人になるまでサイトに表示されない*ので、自分でツイートしたり、このニュースに怒っている他のツイートを探しては、リツイートをお願いしたりしました。

(*Change.orgで開始されたキャンペーンは、賛同者が5人以上とならないとキャンペーン一覧に表示されない。賛同を集められる内容のキャンペーンか、質を担保するため設けられている仕組み。そのため、キャンペーンを作った人は、まずは自力で拡散することが求められる)

−−最初の5人になるまで時間かかりましたか?

最初の5人を集めればぐっと賛同が伸びるだろうと思っていたので、最初ちょっと大変でした。5人を超えてからは、もう、一気に集まりました。

−−その後、最終的に4万人以上の賛同者が集まりましたが、署名を集めたあとはどうしようと考えていましたか?

去年話題になった「待機児童落ちた」のキャンペーンのページを参考にしていたのですが、そこでChange.orgのスタッフの方が提出を手伝ってくれているようだったので、そうなってくれたらいいなと思っていました。

−−(笑)私たちスタッフは、あくまで発信者さんの自発的なアクションをサポートしているんです!今回も、「提出されたいですか?」というご連絡をまず入れましたね。

(スタッフは、報道が多く注目されているキャンペーンや賛同者数が多く集まったキャンペーンなどにサポートのためのご連絡をいれています。Change.orgメールアドレスからのメールは、捨てずに見てみてくださいね!)

−−そして、長崎にお住まいということで、合戸さんは直接提出に行けないので、キャンペーンに「進捗のお知らせ」を投稿して、協力してくれる人をFacebookグループに集めてはどうか、というアイデアをお伝えしました。普段、こういったアイデアをお伝えしてもすぐに実行に移せる人はそんなに多くないのですが、その日のうちにFacebookグループを作って投稿された合戸さん、本当にすごいと思いました!

いえいえとんでもないです。賛同者の皆さんはほとんどの方が年上の方でしたし、厳しいご意見もいただいたりもしまして。なので、ちゃんと提出しないとというプレッシャーが大きかったです(笑)。

−−しっかり対応されていましたよ!そしていよいよ提出に向けて、遠方に住んでいる合戸さんの代わりに提出をしてくれる人をグループの中で募集したんですよね。合戸さんはどういうことを分担したんですか?

私はアポ取りと印刷をしました。

グループに人が集まったので、提出に向けた計画をグループの皆さんにご相談していたところで、教育長が、一転していじめと認定するというニュースが出まして。すぐに教育委員会の方に電話をしてみました。

−−電話した時の雰囲気はどうでした?

丁寧で、スムーズに受け取ってもらうまでの準備ができました。

そのあと、署名を印刷して、提出に行ってくれると名乗りを上げてくれた相馬さんに宅急便で送りました。

−−4万人以上の署名ですよね。紙の厚さってどれくらいでした?

すごかったですよ。スーパーとかで売ってる、A4の紙500枚のパックが3つ分くらい。枚数だと1200とか1300枚くらい行ったと思います。署名だけで。

−−提出の様子は聞かれましたか?

はい。グループのメンバーの方が提出することをメディアにも事前に連絡をしてくれていたので、取材も何件かきていたそうです。

提出に駆けつけた賛同者の皆さんの写真(合戸さん提供)

提出に駆けつけた賛同者の皆さんの写真(合戸さん提供)

当日の様子の取材記事:金銭授受も「いじめ」一転して認定するも、消えぬ市民の不満・不安・不信感――横浜市・原発いじめ問題、市民が約41,500人の署名を教育委員会へ提出(提出時の様子が動画でもアップされています。)

−−提出できた感想はいかがですか?

皆さんに支えられてきた、というのが一番思うところですね。

同時に思ったのは、こういう問題に直面した時に、おかしいだろと思った声とか、被害者に寄り添うべき、というコメントは多く出るんですよね。ヤフーニュースとかのコメントも。そういった、気持ちは同じものを持っている人は多いと思うんですが、それをちゃんと何かの形にするというのは、気持ちだけでは難しい。言葉も大事だけど、気持ちプラス行動がともなわないと、思いが届いたり、反映したりするのが厳しいと思いました。

僕自身も、一つ勉強させてもらったな、と。

−−…そうなんですね!Change.orgのキャッチコピーは「『変えたい』気持ちを形に」なんです。Change.orgを使ってもらって、一人でも、その思いを形にすることの大事さに気づいて欲しいと普段から思っているので、その言葉を聞けただけで私も本当に嬉しいです…!

 

この合戸さんの呼びかけに応じて、署名を実際に横浜市教育委員会に提出に行くよ、と手を挙げたのが、横浜市に住む相馬さんです。

どのような思いで合戸さんに協力したのでしょうか。続けてお話を伺いました。

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−−このキャンペーンをどうやってお知りになりましたか?

Change.orgでニュースレターのメールが来ていて。ニュースでこの事件もみていて「ありえない」と感じていたので、すぐ署名をしました。

−−もともと横浜市にお住まいなんですか?

はい、中区に住んでいて、教育委員会へも車で10分なんです。

なので、このくらいだったら喜んでやりますよ!という気軽なお手伝いの気持ちで。たまたまFacebookを見ていたら、賛同者のグループで合戸さんが提出する人を募集する投稿をしていたので、すぐ返事を書きました。

今回のニュースを見た時にも、教育委員会に電話しようかとも思ったんですが、個人が電話して、それで何か効果があるのかな?という気も同時にしていました。電話はどちらかというと「私の気が晴れるからやる」んじゃないのかなって。かといって何もしないというのもおかしいし…。

そんな時、Change.orgのニュースレターで署名が紹介されていて。立ち上げた人は横浜市民じゃなかったから、びっくりして、少し恥ずかしくも思いました。自分もChange.orgのことは知っていたけど、署名を立ち上げることは思いつかなかった。

具体的に自分から行動に起こそう、自分に今何ができて、その中で何が一番効果的か、ちゃんと考えよう、そしてできることはちゃんとやらなきゃね、と思いました。それで、今回はせめて提出だけでも、と思って。

−−提出した時、どんな気持ちでしたか?

自分の役目は、渡すだけだと思っていたので、全然緊張はしなかったですね。

4万人という人々の賛同が、日本全国からこれだけの速さで集まった、ということに意義があると思っていました。主役は署名をしたみなさんです。なので、4万人の署名をしっかり届けて、受け取ってもらうことがまず意義があると思って行きました。

−−教育委員会の職員の方はどんな反応でしたか?

受け取られた方は事務的な対応としてですが丁寧な受け答えで、「ちゃんとお渡しします」と言ってくれて。受け取りましたという書類も用意してくれました。

そもそも今回の行政の起こした出来事の原因は、市民にも責任があると思うんです。受付で署名を受け取った人の責任ではないし、教育委員会で今回のような発言が出てしまう意識の街になっているのは、市民のせいなので。提出した時だけ「なんであんなこと言ったのよ」と感情的になってしまうのは、ちょっと違うかなと、私は思うタイプなので。感情に訴えかけて効果的になるのであれば、そういうアプローチもいいと思うのですが、この場では、受け取る人も困ってしまうだけだと思ったので。

なので、私としては渡す時に一言申し添えましたけど、淡々と渡したという感じです。

教育委員会が用意した、受理を証明する書類。

教育委員会が用意した、受理を証明する書類。

−−効果的かどうかを重視するんですね。興味深いです!

母親たちは育児で忙しいから、効率を重視すると思います。時間がないから、いろいろできないんです。

今回のニュースでは、母親たちが一番、怒って、憤慨していたはずです。「うちの子がもしカツアゲされても、いじめじゃないって言われるかもしれないってこと?!」って。

ただ忙しいから、活動している暇はないし、憤慨している気持ちを子どもに見せたくもないんですよね。だから、気持ちを切り替えたり、考えないようにしたり。

そもそも、母親たちは社会問題に費やす時間が少ないから、「効果的ならやりたいけど、意味がないならやらない」って思っています。

−−当事者に近い方ほど声を上げにくく、問題がそのままとなってしまう…今回の件に限らず構造的な問題に感じます。

そういう意味で、Change.orgはとってもいいと感じました。

何か問題がある時に発言するためには、どうしても時間や、調べたりの手間がかかりますよね。発言の自由はあるって言われているけれど、実際に誰でも発言できるかというと、そうなっていないと思うんです。

でも今の時代、ほとんどの人がスマホや携帯を持ってインターネットを使えるから、Change.orgみたいな仕組みはすごくいいなと。

−−そう言っていただけると、すごく励みになります…!

−−最後に、提出を終えてみた今、気持ちに変化はありましたか?

提出をした時に、一緒に来てくださった方々やメディアの方々に、大きく影響されました。普段から、市民に責任があるという意識で行動を起こしてる方々なんですね。そういう人と触れ合うことで、いままで、ちょっとめんどくさく感じて、やっていなかったこともあったので、これからできることはちゃんとやらないとね、と感じました。

−−例えば、これからどんなことをやっていこうかな、と思っていますか?

今回のいじめの問題で言えば、市の活動やいじめの問題を見ていこうと思いました。

あとは、感じたことを自分でちゃんと言うのが大事だなと思いました知り合いのママ同士の間で「あれはないよね」っていう会話があるだけでもずいぶん違うと思うんです。

言うことで自分の気持ちも整理できるし、周りにも影響があるはず。

現実的に、できる範囲のことからやっていきたいですね。

 

最後に、相馬さんの提出に駆けつけ同行してくれた、14名ほどの賛同者の皆さんからよせられたご意見をご紹介したいと思います。

「横浜市民として、教育委員会への抗議、要望など、個人でできることはしてきましたが、市民でもない遠方の方がこの問題のために行動していただいたこと、4万を超える署名を集めていただいたことに敬意と感謝の気持ちでいっぱいです。
署名提出までを見届けたいと思い同行させていただきました。」

また、原発から避難してきた子どもたちの心の傷を癒したい、という思いや、教育委員会に「この問題に関心をもっているぞ!」という意思表示をしたかったというご意見もありました。

 


いかがだったでしょうか?

私は、発信者が宛先からは遠く離れて住んでいても、同じ問題に関心がある賛同者と協力することで、いろんなことが実現できる、とても良い事例だと思いました。

また、発信者の合戸さんも、提出を買って出た相馬さんも、「できることから声をあげたり、行動に移すことが大事」という思いを持つようになったことも、心強く感じました!

みなさんひとりひとりの「ちょっと」の行動が集まって、誰かを動かす大きな力に変わる、そんな可能性を感じられるストーリーでしたね!

 

次回は、現役慶応大学生が、休学費をの減額に成功したお話をお伝えします!

お楽しみに!

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Written by
Change.org
3月 18, 2017 10:00 am