チェンジメーカーストーリー

【成功事例】奄美大島の地元有志が46,000人以上を巻き込んで、巨大クルーズ船計画を阻止した話

Change.org広報の武村です。こんにちは、Change.orgのキャンペーンスタッフ兼広報の武村です。
Change.orgでは日々たくさんのキャンペーンが開始されていますが、それらをモニタリングしたり、中でも特に話題となっていたり、数がたくさん集まっていたりするものをサポートしたり、といった仕事をしています。

成功したキャンペーンを紹介し、Change.orgの有効な使い方やキャンペーンの進め方を知ってほしい。そして、より多くの人に、自分で立ち上げたキャンペーンを成功させてほしい、と思って、この記事を書いていきますので宜しくお願いします!

Change.orgはあくまでツール。使い方次第、またそのターゲットとする課題の状況や関わる人たちの関係性で結果は無限大です。

奄美大島、龍郷町の浜 奄美大島、龍郷町の浜

いきなりですが、素敵な海ですよね!奄美大島の龍郷町というところにある浜なんだそうです。一度はこんな素敵な自然の中に身を置いてみたいですよね!
今回は、この夏Change.orgでも特に賛同者が集まったキャンペーン、「奄美大島のすばらしい自然を残すため、中国人客5,400人を乗せた22万トン級クルーズ船の寄港地建設計画をやめてもらいたい!」を、見事成功に導いた田中さんにお話をうかがいます。

奄美大島まで行きたいのは山々ですが、お金も時間もないので電話でインタビューしました。(写真は再現なのでスマホが通話画面ではないのは突っ込まないでください) 奄美大島まで行きたいのは山々ですが、お金も時間もないので電話でインタビューしました。(写真は再現なのでスマホが通話画面ではないのは突っ込まないでください)

−−こんにちは!初めまして、Change.orgの武村です。今回はキャンペーンのおめでとうございます。

どうもありがとうございます!

−−そもそもなぜ今回はキャンペーンをはじめたんですか?

僕は埼玉出身なんですけど、南の島や海が大好きで、20ウン年前、大学に入るために18歳で沖縄に引っ越しました。シーカヤックガイドをしたり、その後作業療法士の資格を取って働き、沖縄で10年以上生活しました。
でもふと気づくと、沖縄の開発が進んでしまって、20年前にきた時の感動がうすれてしまって。奄美大島に引っ越して来たのが1年半前なんです。

田中さん

田中さん

−−意外と最近なんですね!てっきり奄美大島で生まれ育った方が始めたのかと思っていました。

そうなんです。
それで奄美大島に移住して約1年経った今年5月にたまたま知人に誘われて、集落でやっていた開発業者主催の住民説明会に行ったんです。この内容を聞いて、沖縄での開発が進んだ現状を知っていたので、ものすごい危機感を感じました。ずっと島に住んでいると、今の居心地の良い環境が開発によって壊されてしまうということをあんまりイメージできないのかもしれないとも思います。

−−他の住民の方の中にも反対したりしてる人はいなかったんですか?

最初は正直よくわからない、というのがみんなの反応でした。
島は失業率が高く、仕事がないという危機感はあったので、もしかしたらいいことなのかも、と感じていた人もいたかもしれないですね。
でも、開発業者の提示した情報はバラ色のものばかりで、6000人規模、という見たこともない大きさの客船が来るのに、こんないいことばかり起きるのかな?という疑問をもっていた人もちらほらいました。
それと、昔から島に住んでいる人たちの中には、開発業者と一緒に計画を進めている土建業者の人たちと仕事のつながりもあったりするので、表立って反対をして関係を壊すのがこわい、という人もいたと思います。
そんな雰囲気なので、賛成も反対もしないという人が大多数になってしまって、議論が盛り上がる様子はありませんでした。
心の中では賛成の人も、反対の人も、普段の関係性が壊れるのが怖かったんだと思います。

開発業者が住民説明会で配布した資料

開発業者が住民説明会で配布した資料

−−なるほど〜。

そういう「表立って話せない」という雰囲気もあって、開発の推進派にとっては「隠しながら計画を進めてしまえる」と有利に働いていたと思います。
そこで、僕たちは、「龍郷湾を守る会」を立ち上げて反対の声をとにかくあげて、僕たちの動きを、もっともっといろんな人に知ってもらうという方向で活動しました。これが功を奏したと思っています。
奄美大島に関するブログポータルに僕らが計画についてまとめたページを紹介してもらったり、反対活動のFacebookを立てたり、そしてChange.orgの署名と、とにかくたくさん情報発信していきました。

−−ネットを駆使していたんですね!

ネットはとにかく拡散力が強い。一回もあったことのない人にも開発計画が届けられ、たくさんの方が署名してくれました。距離も関係ないと感じましたね。

一方で紙の署名も組み合わせて進めていました。町の誰もが行くスーパーで、週に1回は署名のお願いをしたりして。

47,000名以上の賛同を集めて成功した田中さんたちのキャンペーンページ

47,000名以上の賛同を集めて成功した田中さんたちのキャンペーンページ

−−紙の署名とChange.orgのキャンペーンの両方をされたんですね?

そうなんです。紙の署名も4475人集まりました。ネットは若い人や、島の外の人に伝えるのにすごく便利だけど、一方でシニアの方々はやっぱりまだネットを使いこなせる人ばかりではないので、そういう人たちには紙の署名が合っていました。

もう一つ紙の署名の便利なところは、店頭に置いたり、島の外のコミュニティで回してくれる人も多かったこと。今回の開発計画はダイビング好きの人たちにも広まって、反対してくれる人も多かったので、島の外のダイビングショップチェーンのレジ横などにも置いてくれました。町の出身で島の外で生活している人たちの集まりである「郷友会」の人たちも紙を郵送して集めてくれたりしました。

逆に、反対したいけれど、地元の土建業者の関係者だから、名前や住所を記入する必要がある紙の署名は難しい、という人もいました。そういう人はChange.orgのキャンペーンに賛同をしてくれました。

−−なるほど!ネットのキャンペーンと紙の署名、それぞれ便利な部分があるんですね。
それにしても、それだけいろいろな情報発信や活動をするには、一人ではむずかしいですよね?仲間はどうやって集めたんですか?

もともと10人いた町議のうち2人が反対していて、そのうちの1人は、僕が住んでいる集落の町議で、人を集めるための場所を提供してくれたりしました。
他にもダイビング業界、集落、観光業界などから少しずつ反対の人を集めて「守る会」を立ち上げました。メンバーそれぞれの専門分野で、計画は無理があるというデータや声明を集めては、「守る会」のページで発表していきました。
町議さんは表立って活動は難しかったけれど、町議会の雰囲気や推進派の動きを教えてくれたりして。推進側は会議の正式な資料はほとんど公開してないので何も教えてもらえなかったんですが、おかげで先手をとって動くことができました。
それと、僕もちょうど自分の事業の立ち上げをしようとしていたタイミングで、時間が比較的自由に使えたのも大きかったと思います。

キャンペーンの他にもブログやFacebookを駆使して情報発信した田中さんたち

キャンペーンの他にもブログやFacebookを駆使して情報発信した田中さんたち

−−なるほど、やはり、相手の動きをうまく察知することが重要なんですね。
それにしても、これだけ大きな開発計画を見事止めることができたのは、本当にすごいです。キャンペーン成功の鍵はなんだったと思いますか?

さっきも少し話しましたけど、推進派は計画を「隠しながら進めちゃえ」、と思っていた節があります。誰も反対や賛成を表立って話し合えない雰囲気の中で、なんとなく進めれば開発ができてしまうと思っていたんじゃないかと。

それに対して、僕たち「守る会」が反対の声をあげて、もっともっといろんな人に知ってもらおうという動きを大きくしたのが功を奏したと思ってます。

町長も最初は、推進派の情報しか見ていなかったみたいなんです。でもぼくら「守る会」が声をあげ始めたことで、町長側が独自に調査を始めたり、守る会側の発表したデータを調べたりしたらしい。

キャンペーンの賛同の数も最終的に4万7000人以上集まって、ここまで反対されると思わなかったと感じさせるくらいのインパクトになりました。
紙の署名も町民6000人のうち800人くらい集まっていて、これは町議会に請願ができる住民の数を余裕で超えていました。

龍郷町役場に申入書を提出した際の様子。テレビ局などメディアもまき込んだ動きになっていたんですね。

龍郷町役場に申入書を提出した際の様子。テレビ局などメディアもまき込んだ動きになっていたんですね。

−−それは説得力ありますね!

今だから言えるけど、「うちら負けたらもう、集落にはいられないよね。」って言ってた。だから本当によかったです。

−−そうですよね。反対の人も賛成の人もみんな同じ島の、町の中に住んでいるんですもんね…。
最後に、キャンペーンについて、これは伝えたい!ということがあれば教えて下さい。

今回の騒動で示されたのは、この先の奄美のあるべき姿だと思ってます。
島内外問わず、大規模開発は望んでなくて、いいところを残して伸ばしていくことをみんなが望んでいるんじゃないかなって。
だから島のいいところを再確認しましょう、というのが、これからやらないといけないことだと思います。
守る会に関わった人はそれぞれのフィールドで、島をよくしていくプロジェクトをしてくれるだろうし、開発をせずに便利にする方法をこまめにつくっていくようなNPOを立ち上げよう、と思っている人もいそうです。

無関心だった人たちの中にも、関心を持たなきゃダメだね、っていう気持ちになった人が増えたと感じてます。
きっかけはいやな出来事だったけど、今回の経験を通して、もっと島を大事にしないとねという人が多くなりました。

僕が今立ち上げを準備している福祉事業も、島の中で雇用も生み出すし、観光にもつながる仕事をしていきたいとも思っています。
自分たちがそれぞれのフィールドで社会貢献をしていこう。だから、島に悪いことしないでね。そんな気持ちです。

−−…とってもいい話、ジーンときてしまいました!これからも、奄美大島を素敵にしていってください!いつか絶対遊びに行きたいです!

田中さんが送ってくださった写真。こんな素敵な夜空の見られる自然、これからも大事に守っていってほしいものです!

田中さんが送ってくださった写真。こんな素敵な夜空の見られる自然、これからも大事に守っていってほしいものです!

いかがだったでしょうか?
キャンペーンの成功には、様々な幸運や偶然もありますが、取り入れられるポイントもたくさんあったと思います。

【ポイント】

  1. とにかく声を上げる!
  2. チーム作りの大事さ
  3. 相手の動きを探って先手を打て!
  4. 紙の署名とChange.orgのキャンペーンをうまく組み合わせて!

今キャンペーンを進めている方、これからキャンペーンを立ち上げようと思っている方のお役に立てば幸いです!

Written by
Change.org
12月 20, 2016 5:25 am