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海外成功事例から学ぶ「動員」と「チェンジ」の起こし方!<後編>

2013年3月2日、Change.orgは、動物愛護に関心のある方を対象として、どのように「チェンジ」を起こすかを学ぶ勉強会を開催しました。 前編に引き続き、人と物事を動かすための5つの要素についてご紹介します。(プレゼンテーション:Change.org日本代表 ハリス鈴木絵美)

※ この記事の<前編>はこちら

要素3:目標

次の要素は目標。相手に何をしてほしいか、ということです。

目標の設定は、一見簡単に見えて、とても難しいです。 ある最終目標にむけての道は、複数存在します。

例えば、行政に殺処分を無くしてほしい、という課題に対して、最初から殺処分の要望する署名を立ち上げることは可能です。しかし、果たしてそれが一番効果的なのでしょうか。

最初のステップを考えることもできると思います。一番効果的で、一番成功しやすい、今後につながるステップは何かということを考えてもらいたいと思います。

問題に対する理解を深めてもらうために勉強会を開いてもらうとか、政治家に公約に盛り込んでもらうとか。色々道はあります。

小さい「チェンジ」を積み重ねることで、大きい変化につなげる。そういうことも考えてみるといいと思います。

また、目標は、具体性があって、なおかつ締切がついているものが、一番わかりやすく、緊急性が高まり、賛同が集まりやすくなります。

目標の設定に悩んだ成功事例

目標の難しさを象徴した例として、ひとつのキャンペーンを紹介します。

カリフォルニアのシーワールドでショーに出ているシャチのショーカちゃん。同じプールにいたイルカが移動した後、5ヶ月以上も全く他のシャチやイルカとの交流がありませんでした。 シャチは人間と一緒で、とてもソーシャルな動物です。そのため、カリフォルニアの法律上、交流がない状態は「虐待」で違法だとされています。

7000人が署名したところ、ショーカちゃんは別のシーワールドに移動され、シャチやイルカと会うことができました。

もちろん、根本的な問題が解決されていないとか、海に戻してあげた方がいいと考える人もいるでしょう。しかし、その様なことは、営利団体であるシーワールドが受けて入れてくれるはずがありません。 そのことを考慮した上で、ショーカちゃんの寂しさを和らげることができたキャンペーンだったと言えるでしょう。

要素4:セオリー・オブ・チェンジ

次に必要なのは、セオリー・オブ・チェンジです。

セオリー・オブ・チェンジは「実際に何かが変わるかもしれない」と思える推理、セオリーです。

人は、変わらないと思ったものには、全然署名しません。「僕がここで署名をしたら、何かが変わるかもしれない」と思ったものに対して、署名してくれる方が大半です。 感情で署名してくれる人も一定数いますが、賛同を広げるには、セオリー・オブ・チェンジを備える必要があります。

宛先が総理大臣だと、相当な数の署名がないと、変えられないでしょう。しかし、例えば世田谷区の条例を変えたいであるとか、一つのペットショップの運営形態 を変えたいというときは、「500人くらい集まったら変わるかな?」と感じやすいです。実現しやすく、変化が起きると信じてもらえるかもしれません。

どのような宛先が、どれくらいのプレッシャーで動いてくれるのか。これをキャンペーンで示すことが大切です。

セオリー・オブ・チェンジを強く感じられる成功事例

その例として、ひとつの成功事例を紹介します。 ハーバード大学の学生が発信したものなのですが、食堂で利用されている卵をすべてケージフリーのものにしてほしいというものでした。 このキャンペーンでは、同じ州の大学やアイビーリーグの大学ではケージフリーの卵を利用しているなどと比較をして、「どうしてうちの大学はできないの?」と 説得しました。

既にある類似事例を出せると、具体的ですし、とてもわかりやすくなります。「できないことはない」と信じてもらいやすくなります。

結局、7000人ほどの賛同で、ハーバード大学もケージフリーの卵を利用することが決まりました。この成功は、間接的にですが、ハーバード大学が利用しているサプライ・チェーンにも影響を与えたことになります。

要素5:パーソナル・ストーリー

最後の要素は、パーソナル・ストーリーです。

これは、発信する方がなぜその問題に取り組む事を決心したのか、というものです。特にネットなので「本当にこの人はいるの?」「実際に署名を届けてくれるの?」という疑問にこたえる必要があります。

例えば、今発信されている「しまむら」と言うファーストファッションブランドを毛皮ゼロにしたいというキャンペーン。 発信者のあずみさんは、ご自身がファッション業界につとめているグラフィックデザイナーです。彼女はファッションに仕事で関わっているからこそ、3000人以上の方が彼女のキャンペーンに賛同しているのです。

また、ハンドウイルカの生体取引をやめてほしいと求めるキャンペーンを発信した長井さんも、個人的なストーリーが強いです。発信した方は、今年2月に太地で 漁業組合や町議の方と直接話しました。実際に何が起きているかを見て話した上で、そのことをキャンペーン・ページで話しています。

タイの成功事例

最後に、最新のキャンペーンとして、タイの成功事例をご紹介したいと思います。 サメは、絶滅の危機にあります。この問題が加速している一つの理由としては、アジアで高級品として扱われている、フカヒレが挙げられます。特に中国での需要が伸びているからです。

サメの危機に直面しているコミュニティの一つが、ダイバーです。ダイバーは、年々減っていくサメと、変わっていく海の環境とに直面しています。 そのダイバーのコミュニティが立ち上げたのが、Fin Free Thailandと言うキャンペーンでした。バンコクの中華街にあるホテルを宛先に、フカヒレスープの提供をやめてほしいというものです。

Fin Free Thailandが成功できた要素はいくつかあります。 ダイビングを趣味にするモデルさんが2名参加していて、ソーシャルメディアはもちろん、マスメディアへの注目を集めることができました。

タイミングも良かったです。キャンペーンがはじまったのは、今年の旧正月、中国にとっての新年でした。この時期に、フカヒレスープがいっぱい食べられているので、話題性がありました。

キャンペーンを発信して、記者会見とデモを開き、最初の1週間で3000筆ほどの署名が集まりました。 ホテルのスタッフと会談したところ、彼らもキャンペーンに賛同してくれて、さらに他のホテルにもフカヒレスープをやめるよう呼びかけてくれることになりました。 攻撃的でなく、セレブも参加しているのでポップでかっこいい印象を与えることができ、参加したくなる雰囲気を作ったところが良かったのではないかと思います。

以上が、プレゼンテーションです。では、Q&Aタイムにしたいと思います。

—(会場からの質問)動物愛護は大切だと思いますが、文化を考慮しなくてはならないのではないですか?

Change.orgはローカルなキャンペーンに適しています。長井さんも実際に太地に行って話して、漁自体ではなく、イルカの生体販売をやめてほしいという内容にしました。これは、日本人の視点で、日本の文化に沿って発信したと言えるのではないでしょうか。

—(会場からの質問)事実に反するものなのに、勢いで署名が集まってしまうことはありますか?

ありうることだと思います。しかし、事実がしっかりしていないと、成功しないのではないでしょうか。相手が受け入れてくれないからです。

—(会場からの質問)反応がよくなかったら、キャンペーンを訂正できますか?

キャンペーンを閉じることができます。すべては発信者次第ですが、賛同してくれた人がいるので、やめる理由を説明した方がいいと思います。

それでは、これ以上の質問はないようなので、これで終わりにしたいと思います。

ご清聴ありがとうございました!

スライド:http://www.slideshare.net/emmy_change/2013-03-02changeorg

Written by
Change.org
5月 13, 2013 5:31 am